2022.03-24 /未分類今月の事務所だよりです

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  今月の事務所だより
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いつもお世話になっております。

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◆2022年4月の税務
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4月11日
●3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

4月15日
●給与支払報告に係る給与所得者異動届出

5月2日
●公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
●2月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人
事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・
地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

●8月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住
民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<
消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間
申告(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○軽自動車税(種別割)の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付(4月中において市町村の条例で定
める日)
○固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限
のいずれか遅い日以後の日までの期間)
○固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出(市町村が固定資産の価格を登録
したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日まで
の期間等)

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◆持株富裕層の節税対策
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◆比率3%以上の大口個人株主
 株式の配当金に対する課税は、一般的には、源泉徴収選択特定口座を利用した
申告不要源泉分離課税で、20.315%での税負担(所得税・復興税・住民税)で済
みますが、上場企業の持株比率3%以上の大口個人株主については、20.42%(住
民税なし)の源泉徴収をされた上で、総合課税での申告となります。課税所得が
4000万円以上の部分は住民税を含めて55.945%となります。一般の20.315%の分
離課税での税負担と比べてかなり高負担となります。

◆総合課税の場合の配慮は微少
 ただし、総合課税の場合は、法人税での受取配当等の益金不算入制度と同様に
二重課税緩和の趣旨から、配当控除という制度が用意されています。課税所得金
額が1000万円以下の部分に該当する配当所得には、12.8%(所得税10%、住民税
2.8%)、1000万円超の部分に該当する配当所得には、6.4%(所得税5%、住民
税1.4%)を控除することができます。
 でも、全体から見た割合は小さいため、それほど大きな効果はありません。

◆3%以上大口個人株主の節税対策
 それで、3%以上の大口個人株主は、個人名義ではなく資産管理会社を設立し
て、3%以上部分の株式を法人名義にする、という選択を多くの場合行っていま
す。
 そうすると、個人所有部分は20.315%の分離課税での申告不要にすることがで
き、法人所有部分は、持株比率1/3超なら100%益金不算入、持株比率5%超~1/3
以下なら50%益金不算入、持株比率5%以下でも20%益金不算入となるので、個
人の配当控除より有利です。その上、役員報酬等の形での家族への所得分散がで
き、法人税の負担も相当に圧縮可能です。

◆法人化後の更なる節税プラン
 逆に、税負担の少ない法人に財産が集積し、資産の中の株式の割合が50%以上
だと、相続などの時に、しっかり財産課税されてしまうので、借入金等により賃
貸不動産その他の資産を取得して、50%未満化策を講ずるケースも珍しくありま
せん。
 また、法人で、含み益の大きい財産を譲渡すると、法人での約33%の課税が行
なわれ、さらにそれを個人の所得となる形で移転すると、2段階での課税となり
ます。これを回避するために、最近は、適格会社分割による会社の複数化により
、M&Aでの会社売却を準備する方法で、20.315%の分離課税化する案も考えら
れています。

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◆相続登記が義務化されます
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◆相続登記は3年以内に
 令和3年4月に成立した改正不動産登記法では、不動産を取得した相続人に対
し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が義務付けられました。
これまで登記未了であった全ての不動産にも適用され、正当な理由のない申請漏
れは、10万円以下の過料の対象となります。新制度は成立後3年以内、令和6年
までに施行される予定です。経過措置により施行日前の相続・遺贈の場合、令和
6年までの施行から3年間が登記申請義務の履行期間となります。

◆新たに相続人申告登記制度がスタート
 相続人の申請義務を簡易に履行できる「相続人申告登記制度」が新設されまし
た。相続登記されないまま長期化すると所有者不明土地を生み、行政に支障をき
たす原因にもなります。このため、相続人申告登記では遺産分割未了であっても
登記名義人について相続が開始したこと、相続人の氏名・住所を登記に付記する
ことで登記義務を履行できることとしました。遺産分割未了のため、持分の登記
はありません。後日、遺産分割協議が整ったときは遺産分割成立日から3年以内
に、協議の結果を踏まえた登記申請が義務付けられます。

◆とりあえず法定相続分での登記に注意!
 もちろん、遺産分割未了の状態であっても従前どおり相続開始後3年以内に、
とりあえず法定相続分で暫定的な登記を行い、遺産分割協議が調った後に登記し
直すことも可能です。
 しかし、法定相続分で登記をしても遺産分割協議前であれば不動産の利用、売
却等には共有者の間で何らかの同意が必要となります。相続人が死亡すると権利
者は更に増えて、遺産分割は難航必至です。

◆相続人申告登記も遺産分割は先送りのまま
 相続人申告登記を行って遺産分割協議を続行する場合も、民法上は、法定相続
分で共有されたままですので、不動産の利用、売却等に際し、共有者の間で同意
が必要となることに変わりなく、相続人申告登記も遺産分割の先送りに過ぎませ
ん。

◆それぞれの事情を斟酌した遺産分割協議を
 相続した不動産は相続人の居住用とするか、賃貸用とするか、売却をいつする
かなど有効利用をはかり、そのうえでそれぞれの相続人の事情を斟酌した速やか
な遺産分割協議ができるかがポイントになるのではないでしょうか。

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◆コロナ禍の税務調査
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◆コロナ禍で実地調査は大幅減
 令和2年4月に1回目の緊急事態宣言が発令されてから、もう随分と経ちました
。統計が出ている令和元事務年度(元年7月~2年6月)の税務調査件数を見てみ
ると、すでに新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、実地調査の件数は前
年比77%となっています。おそらく2年度も実地調査は少なかったと推測されま
す。
 このコロナ禍において、申告期限は延長が容易になり、調査どころではなかっ
たというのも実情だとは思いますが、税務署も相当柔軟な対応を取っていて「コ
ロナ禍で不安なので延期して欲しい」という要請もある程度通っていたようです
。また緊急事態宣言の間をぬって調査の日程を組んだものの、該当税務署で感染
者が発生し日程は解消、そのうちに人事異動で結局立ち消え、といった事例もあ
ったようです。

◆接触機会低減を目指した措置?
 実地調査件数は下がったものの「簡易な接触」と表現される書面や電話による
連絡、資料の提出依頼や来署依頼による面接等で、税務署が納税者に対して自発
的な申告の見直しなどを要請する手法については、平成30年度と比べて件数が上
昇しています。
 また、今まではFAXや郵送で対応していた調査・照会等で提出を求められた資
料の送付が、令和4年1月からe-Taxで送信できるようになります。

◆国税庁は「ウィズコロナ」を準備
 国税庁はすでに「納税者の理解を得て、税務調査の効率化を進める」として、
大規模法人を対象にしたWeb会議システムやリモートアクセスを利用した税務調
査を試験的に導入しています。
 今後はAIやデータマッチングの導入を行い「申告に対してコンピュータ側で間
違いをチェック」するような機能の拡充を行うとしており、元々ICT化を目指し
ていた上で、コロナ禍に乗じてその方策を加速させているように感じます。
 税務関連の手続きは、平成16年にe-Taxの運用が始まってから、今日に至るま
で、電子化を地道に進めてきました。これからも「便利な改善」が続いてゆくで
しょう。

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