2021.09-29 /未分類今月の事務所だよりです。

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◆2021年10月の税務
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10月12日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知

11月1日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人
事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・
地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住
民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<
消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1
月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村
の条例で定める日)

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◆贈与税の配偶者控除と登記
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◆居住用不動産を贈与したときの配偶者控除
 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得する
ための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで
控除(配偶者控除)できます。
 この特例の適用を受けるには贈与税の申告書と次の書面の提出が必要です。
(1)贈与日後10日経過後の戸籍謄本・抄本
(2)同戸籍の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書等

◆店舗兼住宅の持分贈与を受けた場合
 店舗兼住宅について、例えば居住用部分の50%の贈与をしたとして、登記面で
はそれが全体の25%の持分贈与と表記されたとしても、居住用部分のみの贈与と
扱われることになっています。
 また、居住用部分がおおむね90%以上の場合は全て居住用不動産として扱うこ
とができます。

◆居住用不動産贈与と相続税の扱い
 配偶者控除適用居住用贈与不動産は、相続開始前3年内贈与加算の対象外です

 また、その贈与が相続開始年になされた場合は、その居住用不動産のうち、贈
与税の配偶者控除があるものと仮定して控除される部分は、相続税の課税価格に
加算されず、相続税の対象となりません。

◆所有権移転登記は要件か?
 贈与の対象となった居住用不動産の登記事項証明書の添付は、この贈与税の配
偶者控除特例の適用要件でした。でも、贈与による所有権移転登記そのものは、
適用要件ではありません。
 それで、平成28年に、贈与による居住用不動産取得の事実が確認できる書類を
添付する事に省令改正されました。登記事項証明書は、その事実確認書類の一つ
の例示例となっています。

◆登記を要件にできない色々な理由がある
 登記には第三者対抗要件はあるものの、義務ではなく、任意なので、税法の適
用要件に登記を義務づけることは憚られるのだと思われます。
 それに、店舗兼住宅での登記のように、居住部分のみの登記は受け付けられな
いし、大きな敷地の一部の居住部分の贈与の場合、分筆等が必要となる場合など
を考慮すると、測量費なども含め、登記費用負担が居住用不動産贈与の特例適用
の妨害要因になってしまうからなのだと思われます。

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◆令和3年分からふるさと納税の申告手続簡素化
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◆ふるさと納税の確定申告が簡単になる?
 個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,
000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。令和元年度の寄附件数は約2,334万件
、寄附総額は約4,875億円となり、すでに市民権を得た制度となっている印象で
す。
 寄附によって後から税金が減る形になりますが、寄附をしただけでは税金が減
りません。確定申告をするか、自治体5か所以内への寄附かつ他に確定申告をす
る必要のない方が利用できる、ワンストップ特例の申請をしなければなりません
。給与収入のみの方であれば、電子申告を利用すると作成の手間もあまりなく、
提出も自宅等で行えるため、確定申告はかなり簡単ですが、令和3年分の申告か
らは「寄附金控除に関する証明書」の発行により、さらに簡素化される見込みで
す。

◆先行して生命保険料控除がやっている制度
 ふるさと納税を扱っている特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附
金控除に関する証明書」は、電子データや郵送等で寄附を行った方に提供されま
す。寄附を行った方は、証明書のデータを市販の確定申告作成ソフトや国税庁の
確定申告作成コーナーで読み込ませることで、今まで1つずつ寄附先や寄附金額
を入力していた手間が省けます。令和2年分の申告や年末調整で導入された、生
命保険料の控除証明書等の電子的交付と同じ仕組みです。
 また、e-Taxではなく、紙の申告書を提出する場合でも、今までは寄附金受領
書をすべて提出していたものが、証明書データを国税庁が提供するQRコード付証
明書等作成システムで読み込むことによって生成される書類を添付する方法を取
ることができますので、こちらも簡素化が可能です。

◆特定事業者認定に注意
 「寄附金控除に関する証明書」を発行することのできる特定事業者は、地方公
共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している事業者となり、ふるさと
納税でよく聞くポータルサイトを運営している団体となりますが、規模の小さい
団体は、まだ特定事業者として確認できないものもあります。簡素化制度を使い
たい場合は、お使いのサイトが特定事業者に認定されているか確認しましょう。

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◆相続で所有者不明土地にしないために
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 高齢化で相続が増加する中、利用されない土地が増えると、所有者が判明しな
い、又は連絡がつかない所有者不明土地が生じます。今年4月、これらの解消を
目的とした民事基本法制の見直しが行われました。

1.不動産登記制度の見直し
 相続登記が義務化され、不動産を相続により取得した者は、その取得を知った
日から3年以内に相続登記を申請しないと10万円以下の過料が徴収されます。一
方、相続登記はこれまで、登記義務者が共同して申請しなければなりませんでし
たが、新たに相続人が自らを登記名義人の法定相続人であることを申し出れば、
単独で登記申請できる「相続人申告登記」※が新設され、登記申請義務を履行し
たものとみなされます。また、令和4年の税制改正では、相続人の登録免許税の
負担軽減措置が図られる見込みです。
(※所有権の移転登記ではなく、報告的な登記とされます)

2.相続土地国庫帰属制度の創設
 相続した土地を国が買い取る制度も新設されました。相続人にとっては朗報で
すが、国は、安易な買取りを防ぐ観点から様々な条件をつけてハードルを高くし
ています。建物は相続人が取り壊して更地にすることや、土壌汚染や埋設物のあ
る土地、崖地、担保権の設定された土地、通路に利用される土地、境界に争いの
ある土地などは、買取りの対象からはずされ、買い取る場合でも10年分の管理費
用を国に支払うことが条件となるなど利用し難さが指摘されています。

3.土地利用に関連する民法の見直し
 民法も新制度の後押しをします。遺産分割協議の長期未了状態を解消するため
、相続開始から10年経過したときは、特別受益者の相続分や寄与分によらず、画
一的な法定相続分で遺産分割することとなりました。
 また所有者不明土地の利活用を促進する観点から新たな管理制度が創設され、
選任された管理人が当該土地の管理や売却をできるようにしたほか、所有者不明
土地を電気・ガス・水道などライフラインの確保に利用できるようになりました

◆相続で所有者不明土地にしないために
 親世帯と同居することが少なくなり、相続が起きると土地や建物の利用目的が
失われ、維持コストの負担も重くなります。行き場のない不動産としないために
も親の世代が将来の活用や処分に責任をもって臨むことが必要な時代になったと
言えそうです。

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