2021.07-29 /未分類今月の事務所だよりです。

◆2021年8月の税務
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8月10日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8月31日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人
事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申
告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税

●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住
民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごと
の中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1
月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告

○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の
条例で定める日)

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◆マイナンバーカードが健康保険証として利用可能に:令和3年3月~
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◆マイナンバーカードが健康保険証に?
 令和3年3月から、医療機関・薬局においてマイナンバーカードの健康保険証
利用が開始されます。
 既に、マイナンバーカードの健康保険証利用申込みが、令和2年8月から始ま
っていることをご存じでしょうか?

◆健康保険証として利用するためには
 マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、事前に利用の申込
みが必要です。具体的には、マイナンバーカードを準備した上で、下記(1)~(3)
のいずれかの手続が必要となります。
(1)スマートフォンでの申込み
 マイナンバーカード読み取り可能な機種で「マイナポータルAP」をインストー
ルして「健康保険証利用申込」から申し込みます。
(2)パソコンでの申込み
 パソコンとマイナンバーカード読み込みカードリーダーを用意して、「マイナ
ポータル」トップページの「健康保険証利用の申込」から申し込みます。
(3)マイナポータル端末での申込み
 自治体に設置されたマイナポータル端末から「マイナポータル」サイトにアク
セスして申し込みます。

◆マイナンバーカードで何が変わる?
 医療機関・薬局の受付に設置された顔認証付きカードリーダーで、本人確認と
保険資格の確認が行われます。
 高額医療費制度を利用する場合、「限度額適用認定証」の申請が不要となり、
窓口での限度額を超える医療費の一時払いも不要となります。また、転職や結婚
による新しい健康保険証の発行前でも受診可能になります。
 さらに、確定申告の医療費控除もe-Taxとの連携で簡便になります。

◆令和5年3月までには全ての医療機関で
 マイナンバーカードを健康保険証として使うには、医療機関・薬局での顔認証
付きカードリーダーの設置が前提ですが、令和5年3月までには概ね全ての医療
機関・薬局で利用できるようになる見通しです。
 健康保険証は将来的には廃止が検討されていますが、当面発行されます。

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◆副業が事業所得となる日は来るか?
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 コロナ禍で会社員の副業が身近なものとなっています。国は成長戦略の中で既
に新しい働き方として兼業・副業推進の環境整備に取り組んでいます。しかしな
がら、副業に対する所得税の扱いは旧来のままです。

◆給与所得と事業所得の違い
 副業に対する所得税の扱いで最初に問題になったのは、給与所得に該当するの
か事業所得に該当するのかという論点でした。
 最高裁昭和56年判決は、給与所得とは、会社との雇用契約のもと、使用者の指
揮命令を受ける従属関係において提供される労務の対価であり、事業所得は、「
自己の計算と危険」のもと、独立して営まれ、営利性、有償性、反復継続して遂
行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得であると判示
しました。

◆副業は事業所得か?雑所得か?
 副業が雇用関係になく従属関係もない場合、給与所得でないことは明らかです
。とすれば副業は事業所得になると理解してよいでしょうか? この点、課税庁
は、副業を「一般的に雑所得である」としており、給与収入に対する副業収入の
規模や、設備の状況、営業日数(会社勤務の時間以外にどれくらい割り当てるか
)などを勘案して雑所得と判定しているようです。平成30年頃までは、上記の要
素を勘案して副業の損失金額を事業所得の損失と認めず、他の所得との損益通算
を認めなかった判例が多くあります。

◆副業が事業所得となる日は来るか?
 これからは、会社員は勤務のかたわら、副業を普通に行えるようになり、自己
の能力を高め、人脈を広げ、経験を積み重ねていくことでしょう。自身の労働時
間を管理し、秘密保持と競業避止義務を守り、「自己の計算と危険」のもと働く
ことになります。
 しかし、雑所得には、青色申告制度が適用されず、他の所得と損益通算も青色
申告特別控除などの特典もありません。青色申告制度の趣旨は、自主的な納税申
告のため、適正な帳簿の作成を勧奨するものです。
 副業を営む会社員は、適正な帳簿を作成することで管理意識が高まり、自律し
た仕事の仕方に転化していくことでしょう。経営者にとっても社員のスキルが高
まり、社外から新たに優秀な人材を確保する機会になるのではないでしょうか。
副業が普通に事業所得と同様に位置付けられることはないのか。さて税の対応は

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◆令和3年分からふるさと納税の申告手続簡素化
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◆ふるさと納税の確定申告が簡単になる?
 個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,
000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。令和元年度の寄附件数は約2,334万件
、寄附総額は約4,875億円となり、すでに市民権を得た制度となっている印象で
す。
 寄附によって後から税金が減る形になりますが、寄附をしただけでは税金が減
りません。確定申告をするか、自治体5か所以内への寄附かつ他に確定申告をす
る必要のない方が利用できる、ワンストップ特例の申請をしなければなりません
。給与収入のみの方であれば、電子申告を利用すると作成の手間もあまりなく、
提出も自宅等で行えるため、確定申告はかなり簡単ですが、令和3年分の申告か
らは「寄附金控除に関する証明書」の発行により、さらに簡素化される見込みで
す。

◆先行して生命保険料控除がやっている制度
 ふるさと納税を扱っている特定事業者が発行する年間寄附額を記載した「寄附
金控除に関する証明書」は、電子データや郵送等で寄附を行った方に提供されま
す。寄附を行った方は、証明書のデータを市販の確定申告作成ソフトや国税庁の
確定申告作成コーナーで読み込ませることで、今まで1つずつ寄附先や寄附金額
を入力していた手間が省けます。令和2年分の申告や年末調整で導入された、生
命保険料の控除証明書等の電子的交付と同じ仕組みです。
 また、e-Taxではなく、紙の申告書を提出する場合でも、今までは寄附金受領
書をすべて提出していたものが、証明書データを国税庁が提供するQRコード付証
明書等作成システムで読み込むことによって生成される書類を添付する方法を取
ることができますので、こちらも簡素化が可能です。

◆特定事業者認定に注意
 「寄附金控除に関する証明書」を発行することのできる特定事業者は、地方公
共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している事業者となり、ふるさと
納税でよく聞くポータルサイトを運営している団体となりますが、規模の小さい
団体は、まだ特定事業者として確認できないものもあります。簡素化制度を使い
たい場合は、お使いのサイトが特定事業者に認定されているか確認しましょう。

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◆令和3年は固定資産の評価替えの年
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◆3年に一度の評価替え
 令和3年度は、3年に一度の固定資産の評価替えの年(基準年度)です。新し
い評価額は、令和4年度、令和5年度まで3年間適用され、市区町村の固定資産
税納税通知書および課税明細書に記載されています。

◆令和3年度は負担調整措置で前年並み課税
 土地の評価には、負担調整措置があります。固定資産の評価額に対する税負担
に地域や土地による格差があるのは税の公平の観点から問題があることから、負
担調整措置により負担水準(評価額に対する前年度課税標準額等の割合)が高い
土地は税負担を引き下げたり、据え置いたりする一方、負担水準が低い土地につ
いては段階的に税負担を引き上げます。
 令和3年度は、評価替えを起因とする税額の上昇を抑えるため、前年度と比較
して価格が上昇する場合、令和2年度課税標準額に据え置かれます。納税者の負
担は令和2年と同じですが、評価額そのものは改定されているので、しっかり確
認しましょう。

◆宅地評価は相続税と異なります
 宅地は地方税法の定める「固定資産評価基準」により評価されます。固定資産
税の路線価が設定される地域では、路線価に画地補正率を乗じ、さらに修正率を
乗じて1㎡あたりの土地評価額を算定します(修正率は毎年設定)。なお、画地
補正率は、市町村(東京23区は東京都)の条例で独自に定めて適用することがで
きます。
 固定資産税路線価は、相続税の路線価と異なり、基準年度の前年1月1日(令
和3基準年度は、令和2年1月1日)の地価公示価格、または不動産鑑定評価額の
概ね70%で設定されます。また補正率は、相続税の補正率と同様のものが設定さ
れていますが、地区の区分や適用される数値は相続税と異なるので注意が必要で
す。また令和3年度の修正率は、令和2年1月1日から令和2年7月1日までの
地価の下落状況を反映して路線ごとに設定されています。今年は減額修正されて
いる路線が多くあります。

◆所有土地の評価額をチェックする
 令和3年度の評価額は、納税者の側でも固定資産税の路線価、画地補正率、修
正率を使用して算出できます。市区町村の固定資産税課に出向けば、土地評価額
を閲覧できるほか、担当者に問い合わせて評価額の根拠を教えてもらうこともで
きます。一度ご自身で土地の評価を確認してみてはいかがでしょうか。

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